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菅義偉政権”4月退陣シナリオ”と最期の切り札に立ちはだかる3つの壁

文=元木昌彦(もとき・まさひこ)

日本の「脱ガソリン車」にきな臭い存在

 私は画家の東山魁夷の「道」という絵が好きだ。

 一本の山道が描かれているだけだ。どうやら上り道らしいが、先はどうなっているのかは見えない。

 よく見ると、右へ曲がっているようだが、その先は定かではない。

 この絵を見ていると、ドイツの詩人カール・ブッセの「山のあなた」(上田敏訳)を思い出す。

山のあなたの空遠く「幸」住むと人のいふ。
ああ、われひとととめゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」住むと人のいふ

 魁夷が描いた道は「人生」である。だから、徳川家康の遺訓といわれる「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし」という言葉も浮かんでくる。

 重い荷物をしょって登ってみても、そこにあるのはやはり、果てしなく続く道である。

 何を求めて人は道を、人生を歩んでいくのだろう。そんなことを考えさせる絵である。

 東山の人生を辿った佐々木徹著『東山魁夷ものがたり』(ビジョン企画出版社)を読んでいたら、中村勝五郎という名前に出会った。

 東山が画家として評価されるのは、藝大を出た仲間の中でもかなり後であった。そんな彼に援助を与え、見守ったのが、千葉県市川市のみそ問屋の中村勝五郎であった。

 兵隊に行った後も、東山は勝五郎を頼る。こんな記述がある。

「戦後はじめての日展(日本美術展覧会)が開催されることになりました。母の死と弟の病いという重い現実を背に、東山新吉は単身、市川に出て、制作に励みます。この一作にと渾身の力を注いだ作品は、しかし、落選してしまうのです」

 中村勝五郎が競馬の馬主会の会長だった時に知り合った。「ジョセツ」「ハクセツ」という名牝の馬主だった。

 鬼越という一帯を持つ大地主で、大旦那という雰囲気の素敵な人だった。彼から色んな話を聞いたが、記憶に残っているのが東山と藤田嗣治のことだ。

 売れない画家たちを居候させていた。彼らは日夜、描いては捨て、また描いた。

 そんな書き損じの絵を集めて、植えてあったリンゴだか柿だかに、実が落ちないようにそれを被せたという。

「あれを捨てないで、取っておけば、高い値で売れただろうな」

 そういって愉快そうに笑った。今はいない真の旦那であった。

 横道にそれた。話を戻そう。

 ところで、水野弘道という男がいる。先見の明があるというか、抜け目のない人間のようである。彼は大坂市立大を卒業後に住友信託銀行に入社。その後イギリスの投資機関に勤めた後、世耕弘成元経産大臣の知遇を得て、世耕の推しで年金を運用するGPIFの最高責任者になる。

 20年3月に退任すると、翌月にはEV車でトップを走るテスラ社の社外取締役と監査委員に就任するのだ。その際、大量のストックオプションを得ている。

 それだけなら一人の男の成功譚として聞き流せるのだが、新潮によれば、その後5月には、経産省の参与に就任するのである。水野は官邸にまで「脱ガソリン車」をプレゼンし、それに、ビジョンも政策もない菅首相が乗り、「2030年代半ばまでに電動車の割合を100%にする」とぶち上げたのである。

 たしかに、脱炭素、EV車は世界的な潮流である。そのためテスラ社は、販売台数でいえばトヨタの30分の1程度だが、株価はトヨタの時価総額の3倍にもなり、1月にアメリカの雑誌『フォーブス』が、イーロン・マスクCEOは「世界一の富豪」だと報じた。

 そのテスラ社の株価上昇の何十分の1の手伝いをしたのが水野である。シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト田代秀敏が指摘しているように、「経産省参与がテスラ社の取締役を兼任することは、モラルハザードを引き起こすリスク」があるはずだ。

 また、そんな人間を参与にし、吹き込まれたまま、日本のクルマをすべてEV車などにすると公言してしまう菅政権の“軽さ”はいかんともしがたい。

 1月18日に新潮は水野に取材を申し込むと、突如水野は経産省参与を辞任したそうだ。もやは目標を達成したから、役職に未練はないということだろうか。

 新潮は「エコの裏にあったのは、剥き出しのエゴ」だと結んでいる。

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