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『関ジャム』“東京ソング”特集、長渕剛の「とんぼ」は東京育ちに刺さる!?

長渕剛「とんぼ」に込められた“ステレオタイプの東京”に触発されて上京するファンたち

 番組の最後に紹介された「東京ソング」は、渋谷が挙げた長渕剛「とんぼ」だった。

「コツコツとアスファルトに刻む足音を踏みしめるたびに 俺は俺で在り続けたい そう願った」
「死にたいくらいに憧れた花の都“大東京” 薄っぺらのボストンバッグ北へ北へ向かった」
「死にたいくらいに憧れた東京のバカヤローが 知らん顔して黙ったまま突っ立ってる」

 1988年にリリースされた楽曲だが、この時代の地方出身者が抱く、これ以上ないほどわかりやすい“ステレオタイプの東京”のイメージが凝縮された歌詞だと思う。

 特に、長渕は故郷から見た東京のイメージ、憧れを曲にすることが多い。彼が恥ずかしげもなく歌い上げた“憧れ”の気持ちに触発され、上京したリスナーは数多い。他に、長渕の上京ソングといえば、「今日から俺 東京の人になる」のフレーズが印象的な「東京青春朝焼物語」も挙げられる。あと、長渕の「東京ソング」と同じ系譜の楽曲としては、シャ乱Qの「上・京・物・語」もそうかもしれない。

 渋谷は、「とんぼ」について以下のように解説している。

「『ねじふせられた正直さが 今ごろになってやけに骨身にしみる』っていう歌詞。僕らが初めてメジャーレーベルと、大人っていう生き物と会話をしたとき、『なんであそこで頷いちゃったんだろう』とか『なんであそこで俺、ニコニコしちゃったんだろう』っていうのが、1人になったときにすごくグッときちゃうんですよね。『ヤバい……』って」

「届かないものの象徴として『とんぼ』を使ってるのが、すごくいいなと思っていて。とんぼは“勝ち虫”と言われていて、勝ちの象徴としてとんぼが使われている」

「『とんぼ』っていう曲の真ん中にいる人間が、牧歌的な幸せというより、すごく勝ち負けにこだわっている人間のように聴こえて。僕も、まさしくそうだったんです。『なんとなく幸せになりたい』というより、ちゃんと勝ちたい、ちゃんと負けたい。その状況の中で、勝ちの象徴として“とんぼ”にずっと手が届かないでいるこの話、この1曲。何かと戦っている者の挫折、うまくいかなさ、歯がゆさっていうものが全編に貫かれていて、すごく上手だと思っていて。これを聴くと、グッと涙が出るような」

「東京ソング特集」のラストで、長渕剛「とんぼ」の聴き方を新宿出身の渋谷が語るという展開は予想外だった。勝ち負けを決めに上京した地方出身者の苦悩と挫折感は、東京生まれの人間にも刺さるという結論。率直に、見応えがあった。

 山下達郎特集、小田和正特集のときにも感じたが、渋谷が語る解説がすごくいい。本当に、この人はよく考察していると思う。

 今回、1つだけ気になったのは、サニーデイ・サービスの「東京」が取り上げられなかった点くらいである。どう考えても、触れないのは不自然な名曲だからだ。何か、事情があったのだろうか?

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/08/28 20:00
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