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井桁弘恵インタビュー

井桁弘恵、人情ラーメン始めました! 初主演映画『釜石ラーメン物語』を語る

ラーメン作りをしっかり学んだ舞台裏

井桁弘恵、人情ラーメン始めました! 初主演映画『釜石ラーメン物語』を語るの画像3
撮影/二瓶彩

――井桁さんの故郷・福岡市は豚骨ラーメンで有名です。

井桁 同じラーメンという名前で括ってもいいのかなと思うくらい、釜石ラーメンと博多ラーメンは全然違いましたね。博多ラーメンはこってりしていて、お酒を飲んだ後についつい食べたくなってしまう味です(笑)。それに比べると釜石ラーメンはあっさりしているので、いつでも食べたくなってしまいますね。博多ラーメンも釜石ラーメンも、「今日はラーメンを食べに行こう」とわざわざ意識して食べに行く感覚ではなくて、街に出たついでにふらりと寄りたくなる身近な味です。とっても日常的な、地元の人にとってのソウルフード。地元の人たちから愛されているという点では、釜石ラーメンも博多ラーメンも共通しているかもしれません。

――麺を湯切りするシーンのために、現地でかなり特訓したとのこと。

井桁 妹役の池田朱那さんと2人で、かなり特訓しました。撮影に使う湯切りの仕方だけ教えてもらえればよかったんですが、地元のおばちゃんがスープからダシの入れ方も含めて、ラーメンの作り方を一連の流れに沿って教えてくれたんです。厨房の中のことは知る機会がなかったので、とても面白かったです。撮影の合間や撮影が早く終わった日は、池田さんと2人で「湯切りはもっとこうしたほうがいいんじゃない?」などとアドバイスし合いながら練習しましたね。

――湯切りパフォーマンスがダイナミックに決まっています。躍動感あふれるフォームは、高校時代に硬式テニス部で鍛えた賜物ですね。

井桁 高校時代の部活が役立ったかどうかは分かりませんが、思い切りよく演じました。実際の湯切りとはまったく異なる、今関監督が考え出したフォームなんです(笑)。実際の湯切りは手首のスナップを効かせ、利き腕の感覚がすごく重要になってきます。今関監督の考案した湯切りパフォーマンスは、体全体を使いつつ、同時に麺が溢れ落ちないよう箸を持つ手も意識しました。「なんだ、こりゃ」と思いつつも(笑)、映画のアクセントになるよう真剣に取り組みました。

――『仮面ライダー』の変身シーンみたいです。

井桁 そうですね、湯切りのシーンはバラエティーっぽい感覚でしたね。でも、仲良(池田朱那)と一緒に湯切りパフォーマンスをバッチリと決めた瞬間は、達成感を感じました(笑)。

「被災地」という一方的な見方を改めた釜石ロケ

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撮影/二瓶彩

――自由奔放な性格で、みんなに愛される長女の正実。声優になりたいという夢を我慢して、食堂を守ってきた妹の仲良。2人が川を挟んで大声で口ゲンカするシーンは大きな見どころ。

井桁 東京でリハーサルをしていたときから「ここは重要なシーンになるな」と分かっていたので、声をまず潰さないように気をつけました。でも、ロケ地で実際に撮影する川を見たら、すごく距離があったので大変だなと思いました。感情を込めて大声で叫び合うシーンだったんですが、正実側、仲良側とカメラで切り返して撮る必要があったので、けっこう同じカットを繰り返しました。でも、今関監督らがテンポよく撮影を進めてくれたおかげで、集中力を途切らせることなく撮影できました。東京だったら、あんな大声で叫ぶシーンを街で撮ることは難しかったでしょうね。釜石だからこそ撮影できた、印象的なシーンになったと思います。

――姉妹間の溝となっていたのが、母・正恵の不在。正恵は2011年3月に起きた東日本大震災で行方不明になってしまった。福岡市内の中学に通っていた井桁さんは震災をどのように記憶していますか?

井桁 私が中学2年生のときでした。テレビから流れてくる映像は、あまりに衝撃的で、同じ日本で起きていることとは思えませんでした。中学生だった私には、まるで現実に起きていることには感じられなかったんです。それから高校に進学し、それまでは屋久島へ修学旅行に行くのが恒例だったのが、私の代では被災地に研修旅行に行くことになったんです。震災から数年しか経っておらず、まだ復興が進んでいない状況でしたが、現地の高校生と交流する機会もありました。ニュースで被災地のことを知っても、どこか他人事のように思えていたんですが、この研修旅行のおかげで現実に起きたことなんだと実感できました。

 その後も被災地のことは気になって、大学に入ってからも個人的に同じ場所を訪問しました。今回、被災地でもあった釜石でのロケに参加できて、すごくよかったと思っています。「被災地」というイメージで一方的に見てしまいがちですが、地元で暮らしている人たちは、すごく前向きに生きている。小川食堂の撮影に使わせてもらった食堂は1カ月間まるまるロケに提供していただいたんです。エキストラには地元の方たちが大勢参加してくれました。現地での完成披露にもたくさんの人が集まってくれて、映画を盛り上げていただきました。復興がまだ進んでいない地域もあると思います。釜石以外の地域も回ってみたいですね。

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