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新旧キービジュアルを手がけたRokin’Jelly Beanが語る映画『キラーコンドーム』

新旧キービジュアルを手がけたRokinJelly Beanが語る映画『キラーコンドーム』の画像1
Rokin’Jelly Bean氏(写真/石田寛)

 世界18か国で翻訳されたドイツの人気コミック作家ラルフ・ケーニッヒの漫画作品を原作とし、1999年1月に日本で初公開されたモンスター映画『キラーコンドーム』。伝説のカルトホラーとして知られる本作が、HDリマスター&ディレクターズカット完全版として、8月4日より全国ロードショーされる。

 初公開当時、大きな注目を集めた本作の日本版ポスター・イラストを担当し、今回のリバイバル上映にあたって新たなキービジュアルを手掛けた覆面画家・Rokin’Jelly Bean氏をインタビュー。その創作秘話などを聞いた。

「女のコをドーンと描いてよ!」

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写真/石田寛

 『エイリアン』や『スピーシーズ 種の起源』のデザイナーとして知られる鬼才H・R・ギーガーがクリチャー・デザインを手がけ、「関わった作品の中で唯一気に入っている映画」と語ったことでも有名な『キラーコンドーム』。

 巨根が自慢のゲイ刑事ルイジ・マカロニが、マッド・サイエンティストによって産み出された怪物“キラーコンドーム”に片タマを喰われ、増殖・巨大化する怪物退治に執念を燃やすというのが大まかなストーリーだ。

――“オルタネイティブ・ポスター”でも世界的に注目されているJelly Beanさんですが、本作のキービジュアルはキャリア初期の代表作のひとつと言ってもいいんでしょうか?

Jelly Bean:本格的に絵を描き出して、まだ5年とかそれぐらいの頃でしたね。『キラーコンドーム』で私のことを知ったという方は多いので、自分にとってはとても大きな映画作品になりました。

――初公開当時は映画と合わせて、Jelly Beanさんが手がけた日本版ポスター・イラストが非常に大きな話題になりました。

Jelly Bean:日本中の雑誌の映画情報コーナーに自分の手がけた絵が載って、「映画宣伝の力ってすごいなぁ」と感じました。“怖いもの見たさ”をうまく刺激できたんでしょうね。どこかの映画館では行列もできるほどのブームみたいになっちゃったみたいで……。

――初公開時のキービジュアルの制作については、今でも覚えていますか?

Jelly Bean:あの絵に関しては実はそこまで深く悩んだり、考えたりしたわけではなく、ストレート直球で行きました。この映画の日本での宣伝を担当していた叶井俊太郎さんから最初にオファーされたときも、「とにかく女のコをドーンと描いてよ!」「映画に出てこない子でも全然いいからさ!」という要望だけで(笑)。昔の古い映画ポスターの雰囲気とかも参考にしつつ描いたんですが、方向性としてはB級映画でよくあるイメージ先行型・ビジュアル重視の考え方でイメージづくりをしていきました。

Rokin’Jelly Beanの作品に影響を与えたカルチャー

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写真/石田寛

Jelly Bean:ただ、今回の新しいキービジュアルに関しては悩みました。やっぱり僕にとって代表作と言えるような、今も多くの人の印象に強く残っている映画のキービジュアルですから。25年前からの盟友であるデザイナーのかとちんと相談しつつ、なるべく前回とは違う方向性でとイメージを固めていきました。実際に出来上がってくるまで「これで本当に大丈夫かな……」と半信半疑な部分もありましたが、描いていて楽しかったです。タイトルのフォントも工夫していて、なかなかインパクトのある仕上がりになったんじゃないかなと。

――この25年間でJelly Beanさんの作品づくりにも色々な変化があったのでは?

Jelly Bean:でも、25年経ってもやっていることは、意外と今も変わってないなとも思いましたね(笑)。デジタル化とか絵描きの技術的な変化はありましたけど。

――当時と変わらない熱量で今も魅力的な女性を描き続けていると。

Jelly Bean:キーワード的にはちょっとエッチで、かわいくて、カッコよくて、ポップみたいな感じの女性を僕は描き続けたいし、それが皆さんにも喜んでいただけるお仕事になっているというのはありがたいことです。25年前はまだ自分のスタイルを模索しているところもあって。いろんなタイプの仕事を受けていたし、モチーフもいろいろ描いていましたが、この映画のビジュアルに関しては、かなり自分がやりたいようにやれたお仕事でした。

――Jelly Beanさんはアーティストとしてどういった作品や作家、カルチャーに影響を受けてきたんでしょうか。

Jelly Bean:子供の頃はもちろん手塚治虫先生もそうですし、永井豪先生の『デビルマン』『キューティーハニー』、松本零士先生の『クイーン・エメラルダス』といった漫画が好きでしたね。10代後半になると車のホットロッドカルチャーに憧れるようになり、エド・ロスやロバート・ウィリアムスといったアーティスト、60年代のアンダーグランドコミック界で有名なロバート・クラムの絵とかもよく真似していました。

――日本の漫画カルチャーもJelly Beanさんの作品のカラーや雰囲気に反映されているんでしょうか? 少し意外な気もしますが。

Jelly Bean:意識していなくてもにじみ出てきちゃっているところはあると思います。僕としては海外のグラマーな女性をずっと描いてきたつもりだったんですが、海外のファンからは日本人女性っぽく見えることも多いみたいで。国・文化によっても絵の見え方・感じ方って全然違うんだなと思ったことがありますね。

バカバカしくも意外と深く考えさせられる映画に

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写真/石田寛

Jelly Bean:そんな経験もあって、アメリカのコミックやカルチャーに憧れが強かった若い頃に比べると、いまはあえてアジアっぽいエッセンスを出してみたり、女の子もKポップとか時代のトレンドを取り入れてみたりもしていますね。

――どういう時に作品のインスピレーションが湧くんですか?

Jelly Bean:最初は描きたいシチュエーションを想像することから始まるので、ネットでいろんな画像を見て、ヒントを探すことも全然あります。どこの国・人種の女性で何をしているところなのか。驚いているのか、喜んでいるのか。その子の感情や気持ちを見る人に想像させるようなシーンを表現したいというのが大きなテーマとしてあります。

――手巻きタバコ製品の「RAW」のアートワークなど、Jelly Beanさんの絵は一目でわかるようなオリジナリティを感じます。

Jelly Bean:そう言ってもらえると嬉しいです。やはり自分のスタイルをつくろうという意識は常にありますね。意外というか、なぜか僕の絵ってめちゃめちゃ黒人ウケがいいんすね。L.A.に住んでた頃もキンコーズでコピーしていたら、テンション高い黒人に「お前がこれ描いたのか? すげえな!」って声かけられたことが何度かありました。

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写真/石田寛

――最後に改めてリバイバル上映にあたってメッセージいただければ。

Jelly Bean:今回の絵を描く前に改めて映画観てみたら、テーマが非常に今っぽくて、昔とは違うおもしろさを感じたんですよね。こんなおバカ映画……と言ったら失礼だけど、25年前は単なるパーティー映画って感じで、主人公が巨根自慢の太ったゲイのおじさん刑事って、「オイオイ……」とか思っていたんですけど。けっこう深いテーマ性みたいなものまで感じてしまって(笑)。25年前につくられたこの映画に、時代が追いついたような感覚があったので、ぜひ今の若い人たちにも見てほしいです。

――まあ、バカバカしいあらすじなのは間違いないですけどね……。アーティストとしての今後の展望などはありますか。

Jelly Bean:自分が手がけたポスターやアパレルなどの商品を販売している「EROSTIKA」という店が原宿にあるんですが、直近で8月から周年イベントもあるので、そこでまた新しいことをいろいろ仕掛けたいなと。これからも変わらずに同じことをやり続けられたらなと思うし、そのために新鮮な何かを僕の絵を見てくれる方たちへ与えられる努力を常にしていきたいです。注目している若いアーティストさんも多いので、コラボとかも積極的にできたらいいなと。

――次の25年もちょっとエッチな女のコを描き続けていきたいという(笑)。

Jelly Bean:でも 25年後はどうなっているんですかね。また、世の中も変わっているんでしょうね。映画は何も変わらないまま。

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写真/石田寛

伊藤綾(ライター)

1988年生まれ道東出身。いろんな識者にお話うかがったり、イベントお邪魔したりするのが好き。サイゾーやSPA!、マイナビニュース、キャリコネニュース等で執筆中。友人や知らない人と毎月1日に映画を観る会(@tsuitachiii)を開催

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いとうあや

最終更新:2023/08/02 19:00
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