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『ブラックファミリア』復讐完了もスカッとしない理由は”主題”からの離脱か

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読売テレビ『ブラックファミリア ~新堂家の復讐~』公式サイトより

『ブラックファミリア ~新堂家の復讐~』(日本テレビ系)の第8話が11月23日に放送された。

 第7話では一葉(板谷由夏)たち新堂家が、次女梨里杏(星乃夢奈)の死の真相に徐々に近く中、死の鍵を握る新堂家により深く潜入していった。長女の沙奈(渡邉理佐)は、早乙女秋生(平山祐介)が女性タレントを食い物にしているという芸能事務所にタレントとして入り込み、一葉も変わらず早乙女家の家政婦を続ける。一方で航輔(山中崇)は復讐に消極的になり、優磨(森崎ウィン)は復讐のために近づいた早乙女葵(瀧七海)に強い共感を抱き、会う約束を新堂家のメンバーに秘密でとりつけてしまう。ギリギリのところで会うことをやめた優磨だったが、後日何者かに暴行を受け、気を失った状態で病院搬送された。

 病院のICUに入る姿を見た新堂家。家でショックを受けていた新堂家だが、そこに秋生の秘書・稲田(中村加弥乃)が訪ねてくる。稲田は独自の調査で、一葉たちの正体に気づいていた。優磨の怪我は事故ではなく、葵に会うことを知っていた秋生が動いたのだと語る。稲田は「自分も梨里杏と同じく女優志望だった、ギャラ飲みや性加害パーティに行っていた。女優としてダメになったところで秋生の秘書になった」と告白。梨里杏の死と家族の復讐に協力する気持ちだという。しかし、一葉は「もっと早く声をあげれば娘は……」とその協力を拒否した。イチ秘書が新堂家の正体に気づいて、力のある早乙女家の面々がいまだ気づかないなんてことはあるのか……と不思議に思ってしまうが、このドラマはそういったご都合主義も物語を進める上で必要なので、これ以上ツッコむのは野暮である。

 葵はいまだ優磨に会えなかったことを引きずり、部屋に閉じこもっていた。大きなショックを受けており、自暴自棄寸前である。眠る優磨の病室に集まった新堂家。一葉の予測では、葵は優磨を信頼しており、彼女には真実を話して真相究明に協力を仰ごうとしたのでは、と予測。梨里杏は芸能界の闇を暴露しようと動画を撮影し、それを理由に殺されたのではないか、と現状を伝える。優磨が襲われたことを受け、航輔は改めて復讐に邁進することを宣言する。

 沙奈はオーディションで盗撮した、枕営業を示唆する秋生たちの動画を得ていた。それを利用して一葉は「すべてを終わらせる」とした。まず、早乙女麗美(筒井真理子)が秋生の誕生日に合わせてSNSに投稿した家族写真に、沙奈が匿名で大量にネガティブ投稿をする。麗美は「早乙女家は完璧じゃないといけない」と動揺。一葉が挽回のために家族全員で誕生日会を提案。誕生日会で秋生は調子が上がったのか「俺はすべてを持っている」と上機嫌だ。

 しかし、その場で長男の倫太郎(塩野瑛久)がある動画を再生。そこには沙奈が撮影したタレントを食い物にしようとスタッフと下卑た会話をする姿が……。激高する秋生。誕生日会はめちゃくちゃになり、早乙女家は完全崩壊する。しかも、その様子は新堂家が仕掛けた盗撮カメラでライブ配信されていた。

 これで早乙女家はすべてを失ったわけだが、沙奈の先輩ジャーナリストが海外メディアを使って告発。「日本ではメディア圧力が」という様は、まるで某事務所の露見プロセスのようだ。制作側も意識していたに違いない。

 後日、信頼失墜のためにオフィスで対応に追われる秋生。そこに航輔が現れ、自身の正体を明かす。梨里杏の死について問いただす航輔。しかし秋生は「梨里杏は自分から身をささげてきた」と笑い、関係を結んだと主張した。航輔は動揺し、秋生は高笑いをする。そして「1回やっただけの女をわざわざ殺さない」とした。最低of最低である。

 航輔は怒りで秋生に襲い掛かるが、逆に倒される。秋生は「梨里杏は自殺」と吐き捨てる。しかし、梨里杏が死んだ学校に自分がいた理由には沈黙してしまった。真実はわからないまま、秋生は警察に逮捕されてしまった。世間にも早乙女家の性加害が完全に明るみになってしまった。

 真相に近づいたわけではないものの、早乙女家への復讐はできた新堂家。これで「胸がすっとした」とならないのは、話の主題である梨里杏の死の真相にはあまり近づいていないからだろう。話の主題に近づかないまま8話まで来てしまったわけだ。最後には、誕生日会を配信された倫太郎が、自分を利用していた沙奈を拉致したところで終わる。

 次回第9話は、また拉致された沙奈の色系ネタで視聴者を引っ張るらしい。同じような展開が続いてややウンザリではあるが、ここまで見たら犯人が誰かは気になる。まったく予測がつかないが、筆者としては「一番怪しくない」葵と沙奈が犯人候補であることは揺るがない。

■番組情報
木曜ドラマ『ブラックファミリア ~新堂家の復讐~』
読売テレビ・日本テレビ系毎週木曜午後11時59分~

出演:板谷由夏、山中崇、森崎ウィン、渡邉理佐、星乃夢奈、筒井真理子、塩野瑛久、平山祐介、瀧七海、小野武彦、少路勇介、長妻怜央(7ORDER)、しゅはまはるみ、カトウシンスケ、釈由美子 ほか

脚本:佐藤友治、城定秀夫、富安美尋
監督:城定秀夫、坂本栄隆、本田隆一
音楽:Yuria Miyazono、石毛駿平
チーフプロデューサー:岡本浩一
プロデューサー:福田浩之、馬場三輝(ケイファクトリー)
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:読売テレビ

公式サイト:https://www.ytv.co.jp/blackfamilia/

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2023/11/30 12:00
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