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 >  >   > キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の”涙拳”が炸裂『KG』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.105

キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の”涙拳”が炸裂『KG』

kg01.jpgノーワイヤーで宙を舞う”カラテガール”こと武田梨奈。
スカートを覗こうとするヤツは容赦しないぞ!(c)2011 東映ビデオ アマゾンラテルナ

 現役女子高生ながら空手の有段者という経歴を引っさげ、『ハイキック・ガール!』(09)で主演デビューを飾った武田梨奈。細身のボディから繰り出すキレのあるハイキック、スタントを一切使わない爽快感に満ちたガチンコファイトでアクション映画愛好家たちのハートの渇きをたちまち潤してみせた。志穂美悦子の引退以降、長きにわたって空位となっていた和製アクション女優の誕生だった。『ハイキック・ガール!』同様に全アクションシーンをノーワイヤー、ノーCG、ノースタントで撮影したのが、武田梨奈主演作第2弾『KG カラテガール』だ。前作以上の強敵や見せ場が用意されている。

 

 1991年6月生まれの武田梨奈の特技はヌンチャク。ネイルアートや英検じゃなくて、履歴書の特技欄はヌンチャクですよ! 空手歴は10歳から。父親が空手の大会で負けるのを見て、「私がお父さんのカタキをとる」との決意を抱き、空手道場に入門。プリクラやお菓子作りじゃなくて、敵討ちに情熱を捧げた10代ですよ! 現在、琉球少林流空手道月心会二段という黒帯保持者。痺れるようなプロフィールの持ち主じゃないですか。08年に映画プロデューサーの西冬彦氏に見出され、『ハイキッグ・ガール!』に初主演。同作の劇場公開時には生イベント”きみ、蹴られたいの? イクよ! 武田梨奈さんに蹴られたい人、集まれ~!!”と称して、観客の中から希望者にハイキックをプレゼントするというデンジャラスなファンサービスを敢行している。もちろん、参加者にはキックミットを持たせていたわけだが、彼女のハイキックを実際に浴びたファンは心身ともにジンジンと痺れまくった。

kg02.jpg洗脳されている実の妹・菜月(飛松陽菜)と
闘うはめになった彩夏(武田梨奈)。父親か
ら同じ空手を学び、実力はほぼ互角。どーする彩夏!?

 「モーニング娘。オーディション2005」の3次審査まで進んだ武田梨奈だが、ルックスはどちらかというと古風顔。切れ長の奥二重で、スクリーンの中の彼女は今にも泣きそうな表情で、襲いかかるヒットマンたちに鋭い突きと蹴りを見舞う。ひとり敵を倒すごとに、ひと粒の涙を流しているかのようだ。ジャッキー・チェンは酔えば酔うほどに強くなる『酔拳』(78)で一躍人気者になったが、武田梨奈の拳は”涙拳(るいけん)”と呼びたい。涙を流した分だけ、彼女はタフになる。そして、彼女が泣きはらした後には、悶絶した大男たちが累々と重なり合うことになる。

 前作では”壊し屋”軍団との激闘を演じた武田梨奈だが、本作の敵はよりクレイジーだ。ヒロインの名前は、紅彩夏。少女時代の彩夏は、妹の菜月と共に父・紅達也(中達也)の道場で空手修行に励んでいた。そんな折、達也が持つ”伝説の黒帯”を手に入れるため、田川(堀部圭亮)率いる悪の組織が道場を襲撃。達也と彩夏を殺害し、菜月を拉致してしまう。時は流れ、彩夏(武田梨奈)は人知れず美しく成長。一度は殺された彩夏だったが、瀕死状態の父が最後の力を振り絞って喝を入れ、奇跡的に蘇生を果たしたのだ。

 「なんでやねん!」「んなバカな!」という観客のツッコミを浴びながらも、物語はひるまず進行する。”伝説の黒帯”を手に入れた田川は世界の格闘界を牛耳り、いたいけな少年少女を殺人兵器に育て上げ、要人暗殺やテロを請け負う闇ビジネスで巨利を得ていた。一方、横浜のシネコンでアルバイトしていた彩夏は館内にいたひったくり犯を得意の空手技で撃退。その様子がネットで広まり、悪の組織の知るところとなる。自分が奪った黒帯が偽物だったことに気づいた田川は、怒り心頭。打倒彩夏のため、最凶の刺客を送り込む。それは幼いときに彩夏と生き別れた妹の菜月(飛松陽菜)だった。菜月は悪の組織によって洗脳された格闘マシンと化していた。同じ血が流れ、同じ空手を学んだ妹との対決を彩夏は余儀なくされる。”涙拳”はより悲壮感を増すのだった。

kg03.jpg“伝説の黒帯”を執拗に狙う悪の組織のボス(堀部
圭亮)。紅達也(中達也)の一撃を受け半身
不随になるも、障害者であることを盾にさらなる
ワルぶりを発揮。

 今回の見どころは、前作では型を披露するだけだった特技のヌンチャクを駆使してのガチンコアクション。また、妹の菜月を救出するために、悪の組織の地下アジトへ単身で殴り込みを掛けるシーンは、なぜか学生服。ミニスカでのハイキックや回し蹴りがノンストップで連打される。ゆるいストーリーとのギャップが激しい。スクリーンを息を詰めて凝視しすぎ、思わず呼吸困難に陥ってしまいそうだ。次世代アクションスター候補の飛松陽菜とのハイスピードバトルの他に、身長190cm体重95kg空手四段の猛者リチャード・ウィリアム・ヘセルトンと激突するクライマックスが待ち受けている。メジャー系アクション大作『SP 野望篇』『SP 革命篇』にも出演している堀部圭亮の無国籍風な悪役ぶりからも目が離せない

 宣伝スタッフを通して武田梨奈にメールインタビューを申し込んだところ、10代の女の子らしいカワイイ手書き文字が綴られたPDFが返ってきた。ミニスカ姿でのアクションシーンは恥ずかしくなかった? というこちらの質問に対して、「前作『ハイキック・ガール!』もスカートだったので、慣れました(笑)。制服姿の女の子が戦うのって、ある意味かっこいいなと思いました。前回も体を張りましたが、今回はそれプラス、美しさや派手さを目指そうと、かなり高度な技にも挑んでいます」とカワイイ文字とは裏腹に頼もしい返答。

 前作では「共演者の顔を蹴るのが辛い」と語っていたけど、それは克服できた? という質問には、「正直、克服できていません。一瞬でも間違うと大ケガになるので……。でも、たくさん練習して、共演者と信頼関係を築くことで撮影することができたんです」との真摯なコメントが書き込まれてあった。また、目標とする俳優にはジャッキー・チェンと武田鉄矢の名前を挙げ、稽古や撮影のない日は腹筋・背筋・ストレッチ運動を済ませてから、友達とお茶したり、カラオケしたり、健康ランドに行ったりしているとのこと。昭和世代を和ませる素顔ですなぁ。

 クランクイン前の武田梨奈の練習風景を、『マッハ!!!!!!!!』(03)、『チョコレート・ファイター』(08)のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督がタイから来日して見学している。『チョコレート・ファイター』のアイドル顔のヒロイン、ジージャとの”空手vs.ムエタイ”競演企画を西プロデューサーには進めてほしいところだ。勝新太郎と”片腕ドラゴン”ジミー・ウォングが対決した『新座頭市 破れ!唐人剣』(71)みたいに2バージョンのエンディングもいいじゃないか。すでに主演作第3弾『女忍 KUNOICHI』の公開が3月に控えている武田梨奈だが、ぜひともリアルアクション映画の復興にいっそうの活躍をしてもらいたい。

 『KG』は現在、横浜ブルグ13と新宿バルト9の2館で上映中。”涙拳”という名の秘拳が、あなたのツボを直撃する!
(文=長野辰次)

kg4.jpg
『KG カラテガール』
監督/木村好克 脚本・アクション監督/西冬彦 主題歌「Ready Steady Go!」武田梨奈 出演/武田梨奈、飛松陽菜、中達也、横山一敏、リチャード・ウィリアム・ヘセルトン、入山法子、滝沢沙織、堀部圭亮 配給/CJ Entertainment Japan、ティ・ジョイ 2月5日より横浜ブルグ13、新宿バルト9ほか全国順次公開中
<www.t-joy.net/kg>

ハイキック・ガール!

お見事!

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