ラジオ批評「逆にラジオ」第35回
当代随一の「イジられキャラ」狩野英孝の取扱説明書が更新された。しかし、書き換えた主は意外にも、縦横無尽にツッコむ剛腕司会者ではない。むしろその対極に位置するボケの世界の住人、バカ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第33回
『報道ステーション』(テレビ朝日系)を見ているといまだに、「このニュースについて、久米宏なら何を言うだろう」と考える。それは古舘伊知郎の切れ味の悪さに対する不満であると同時に、久...
ラジオ批評「逆にラジオ」第32回
タモリほど個性が強いのに、適応力のある人間はいない。基本的に相反する性質を持つこの2つの要素がタモリの中で平然と両立しているのは、実はタモリの持つ個性が、一般にいわれる個性とは基...
ラジオ批評「逆にラジオ」第31回
あのバカリズムが、ラジオで意外にも初々しさを炸裂させている。初々しさとはつまり、ある種の違和感であり、かわいげであり、アナーキーさでもある。リスナーによるネタ投稿を重視する芸人ラ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第30回
史上最高に「面倒臭い」音楽番組である。何しろ、取り扱う音楽ジャンルが複雑怪奇な「プログレッシブ・ロック」限定で、放送時間は10時間。1曲目から25分強の曲がかかり、やっと終わった...
ラジオ批評「逆にラジオ」第29回
世の中には、同じことを言っても許される人間と、そうではない人間がいる。たとえば女性の前で下ネタを言うと大半の男は嫌われるが、中には許される、あるいはむしろ積極的に下ネタを言ったほ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第28回
夏の終わりのスペシャルウィーク、真っ昼間のAMラジオに最も不似合いな男が8月28日の『たまむすび』(TBSラジオ 月~金曜13:00~15:30)に降臨した。井上陽水である。彼の...
ラジオ批評「逆にラジオ」第27回
「禁断」という言葉には、間違いなく人を惹きつける魔力がある。何かを禁ずるのは、それによって人間がコントロール不能な状態に陥ってしまうからであり、逆にいえばそこには人知を越えた根源...
ラジオ批評「逆にラジオ」第26回
大人の世界では近ごろ頻繁に「ソリューション」なんて言葉がもっともらしく連呼されているが、解決以前にまず「そこにどんな本質的問題があるのか」を見出せなければ話にならない。答えの前に...
ラジオ批評「逆にラジオ」第25回
いま最も格好いい歳の重ね方をしている男のひとりが、吉川晃司だろう。ミュージシャンとしての活躍はもちろん、大河ドラマ『八重の桜』(NHK)の西郷隆盛役から『チョコモナカジャンボ』の...
ラジオ批評「逆にラジオ」第24回
ある女性のキャラクターを語るとき、その言動が「天然」か「ぶりっ子」かという判断を、人は無意識のうちに下している。存在を丸ごと全肯定することに喜びを覚える一部の寛容なアイドル・ファ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第23回
歴史とはつまり「ワイドショー」であり、四次元版「すべらない話」である。数年に一度レベルの衝撃的事件という「点」の連続によって歴史という「線」は成立しているが、つまるところ個々の「...
ラジオ批評「逆にラジオ」第22回
今、ふかわりょうが面白い。『ひるおび!』(TBS系)や『5時に夢中!』(TOKYO MX)における彼の話術は、その独自の角度と不可思議な「間」において、他と一線を画する妙な存在...
ラジオ批評「逆にラジオ」第21回
吉田照美はすぐムキになる。ムキになるから面白い。 人は物事を真に受けたとき、ムキになる。何事も、いったん真に受けなければ面白くもなんともない。真面目な話は互いが真に受けることで意...
ラジオ批評「逆にラジオ」第20回
あの柔らかな物腰と優しげな語り口に騙されてはいけない。メガネが2人並んでるからといって、安易に信用したり説得力を感じてる場合じゃない。むしろその信用ならない安直な物言いこそが、い...
ラジオ批評「逆にラジオ」第19回
パーソナリティー本人も繰り返しその言葉を口にするように、とにかく「熱い」ラジオである。だが、「熱さ」と「面白さ」は、必ずしも直結するものではない。すべてはその熱がどう生まれ、どう...
ラジオ批評「逆にラジオ」第18回
爆笑問題の太田光は「過剰の人」である。そしてその過剰性は、時に周囲をも巻き込む原動力となる。人はより過剰なものに反応することによってポテンシャルを引き出されるもので、理想的な場の...
ラジオ批評「逆にラジオ」第17回
ラジオの面白さを測る基準のひとつに、「リスナーとの距離感」というのがある。もちろんそれは基本的に、近いほうがいい。近すぎるとナメられるという危惧もあるが、それでも近いに越したこと...
ラジオ批評「逆にラジオ」第15回
かつての「狂犬」も、いまやすっかり「朝の顔」。そう思っている人にこそ聴いてほしい番組が、この『加藤浩次の金曜Wanted!!』(TBSラジオ 毎週金曜20:00~22:00)であ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第14回
松岡修造といえば、紛うかたなき「天然」である。ただし生粋の天然キャラでありながら、一方では明確な目標に向かって地道なトレーニングを重ねてきた「努力の人」でもあるというところに、ほ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第13回
日本の2013年は、「ヨイトマケ・ショック」とともに明けた。いまだ世間には、その衝撃的パフォーマンスの余韻が色濃く残っている。それほどまでに、2012年大みそかの『NHK紅白歌合...
ラジオ批評「逆にラジオ」特別編
震災を機にメディアとしての力が見直された昨年に比べ、今年はややトーンダウンした感があるラジオ界。とはいえ、芸能界の荒くれ者たちが解放区ならではの騒動を巻き起こし、大いにリスナーを...
ラジオ批評「逆にラジオ」弟11回
芸人はまずネタで世に出て、キャラで認知され、フリートークでようやく本当に売れる。いまお笑い界はほぼそのワンパターンなサイクルで回っているが、意外と3段目の話術のハードルが高いとい...
ラジオ批評「逆にラジオ」弟10回
どこの世界においても前任者の残したイメージというのは非常に厄介なもので、後を継ぐ人間は、同じ路線を歩くのか、まったく別の路線を切り拓くのか、という厳しい選択を迫られることになる。...
ラジオ批評「逆にラジオ」弟9回
ピースの又吉直樹は、今もっとも売れている芸人の一人である。そんな彼が、華やかなテレビのゴールデンタイムの裏で、驚くほど静かに、ひっそりと文学を語っている。芸人ラジオのゴールデンタ...
ラジオ批評「逆にラジオ」弟8回
えのきどいちろうは、気づきの人である。しかし彼の書くコラムには、何も特別な事件は起こっていないように見えるし、彼のラジオは何も有意義なことは言っていないように聞こえるかもしれない...
ラジオ批評「逆にラジオ」第7回
ラジオは時に、人の印象を反転させる力を持つ。またしても、テレビでの爽やかなイメージを覆すことで、ひとりのモンスターを目覚めさせてしまった。怪物の名は、山本匠晃。その端正なルックス...
ラジオ批評「逆にラジオ」第6回
『宮川賢の誰なんだお前は?!』で世間の常識をぶち壊し、『サタデー大人天国! 宮川賢のパカパカ行進曲!!』で素人を意のままに弄び、『夜な夜なニュースいぢり X-Radio バツラジ...
ラジオ批評「逆にラジオ」第5回
芸人・有吉弘行の才能は、説明するまでもなく、すでにテレビで十分に開花しているように見える。その「いかにも開花した感じ」には、『進め!電波少年』(日本テレビ系)時代の彼が、お笑いの...
ラジオ批評「逆にラジオ」第4回
夏休みの終わり、やり残した宿題などうっちゃっておけとばかりに、『オールナイトニッポン』を笑いの波が席巻した。「人気お笑い芸人12組総登場! おもしろくてあたりまえ!」という、恐ろ...