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MARUOSAの「かた焼きそばのフィロソフィー」最終回

爆誕! 人類初「冷やしかた焼きそば」のレシピ大公開

もったりしない冷たい「あんかけ」とは?

【冷やしかた焼きそばの材料(2人前)】

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・揚げ麺(市販のものでOK):2人分
・中華ジュレ
  水:300cc
  中華スープの素:大さじ2
  ごま油:小さじ2
  醤油:小さじ2
  砂糖:小さじ1
  塩:少々
  コショウ:少々
  コーンスターチ:大さじ2(水と1:1の割合で使用)
  アガー:18g
・豚バラ:150g
・チンゲン菜:1房
・玉ねぎ:1/2個
・ニンジン:1/2本
・もやし:1/2袋

【手順1】中華ジュレを作る

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 鍋に水、中華スープの素、ごま油、醤油、砂糖、塩、コショウを入れて沸騰させる。沸騰したら弱火にし、水に溶いたコーンスターチを入れて柔らかなとろみが出るまでかき混ぜ、中華あんかけを作る。

 とろみがついたらアガーを少しずつ慎重に入れ、すべて溶かし終わったら火を止める。バットに流して余熱をとった後、冷蔵庫で1時間ほど冷やす。

(常温でも時間が経てば固まりますが、冷やしかた焼きそばの醍醐味を味わうために冷蔵することをおすすめします)

【手順2】具材を茹でる

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 野菜は水1Lに対して塩を小さじ1/2、豚肉は砂糖を大さじ1、酒を大さじ1入れた鍋で茹でる。

 チンゲン菜は初めに根元から茹で、20秒ほど経ってから全体を30秒ほど茹でる。茹でた後は水にさらして水分を切利、食べやすい大きさに切る。

 ニンジンは細切りにして水から茹で、沸騰後2~3分でザルに上げて水分を切る。

 玉ねぎは1cm幅に切り、沸騰したお湯で1分、もやしは30秒でザルに上げて水分を切る。

 豚バラは2cm幅に切り、沸騰したお湯で火が通り色が変わるまで茹でる。その後、水にさらしてから水分を切る。

 茹で終わったすべての具材はボウルに移し、中華あんかけと同様に冷蔵庫で冷やす。

【手順3】中華ジュレと具材を和える

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 冷えて固まった中華あんかけをフォークで細かく砕き、ジュレ状に。

 そして、全体の2/3を具材の入ったボウルに投入し、混ぜ合わせる。

【手順4】盛り付け

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 皿に揚げ麺を敷き、その上から具材を乗せる。さらに残り1/3のジュレを上に追いがけして、完成。

 こうして、かた焼きそばの歴史に新たなページが加わった。

 あくまでこれは基本の作り方なので、オイスター風味にするも良し、ナンプラーを加えてエスニックにするも良し、揚げ麺を自分で揚げても良し。各々の好みでアレンジしてもらい、冷やしかた焼きそばの可能性を存分に味わってもらいたい。

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 ちなみに一番苦心したのは、やはりあんかけ作りだった。

 とろみ付けといえば一般的には片栗粉が頭に浮かぶが、やはり冷やしたときのもったり感が全体との調和を乱していた。そこで現れたのがコーンスターチ。片栗粉よりもとろみが控えめで柔らかく、冷やしてももったりした感じはない。余談だが、世界最古のかた焼きそばレシピが掲載されていると目される料理本『Chinese Cookery in the Home Kitchen』(アメリカ、1911年出版)でも、とろみづけにはコーンスターチが使用されている。

 そしてもうひとつ、アガーの存在だ。

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 聞きなれない食材だと思うが、海藻を原料とした凝固剤の一種で、主にゼリーなどに使われる。スーパーではあまり見かけないが、製菓材料などを取り扱うお店で入手可能だ。

 なお、ゼラチンでも凝固はするのだが、アガーに比べて仕上がりが柔らかすぎるので型崩れしやすく、さらに常温で溶けてしまう性質を持っており、揚げ麺とうまく絡まないことが試作してみてわかった。とろみと清涼感の両方を兼ね備え、さらに持続させるには、この2つは欠かせないのだ。

 冷やしかた焼きそば。

 それは今まで誰も成し得なかった「偉」業というより、需要がないので誰もやろうとしなかった「異」業というべきか。たとえそれが周りから見て価値のない馬鹿げたことだとしても、意志を貫き創造することが人間にとって最上級の幸福だと私は思う。富や名声はその副産物に過ぎない。

 最後になりましたが、かた焼きそばというマイナーかつ摩訶不思議な料理に付き合ってくださった日刊サイゾー編集部、同行フォトグラファー、そして読者の皆さまに感謝申し上げます。またどこかでお会いしましょう。

 

〈連載「かた焼きそばのフィロソフィー」の過去回〉
第1回「海老天ベンツも潜む圧倒的な情報量の“揚げ日本そば”スタイル」
第2回「中野坂上にも“夢と魔法の王国”があった! 豚レバーとピリ辛餡が刺激的な『ミッキー』のかた焼きそば」
第3回「椎茸・ザ ・ボンバーの一点突破! “映え”だけじゃない極端かた焼きそばの滋味と享楽」
第4回「インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそば」
第5回「創業90年の町中華で味わう極上“アンビエント”かた焼きそばの宇宙と無常観」
第6回「まるでかた焼きそばのサラダ! 立川で100年以上続く福来軒の懐かしくて新しい逸品」
第7回「エキゾチックなタイ版かた焼きそば“あんかけのスコール”で微笑みがあふれ出す!」
第8回「“かた焼きそば名門校”出身の料理人による天衣無縫のあんかけと病みつき揚げ麺」
第9回「羽生善治九段の勝利にも貢献した“将棋めし”聖地が『かた焼き祭り』を開催!」
第10回「人生につまずいたときに優しく迎えてくれる中目黒の王道かた焼きそば」
第11回「ベトナムと日本をつなぐ『あんかけ揚げめんフォー』のワンダーランド」
第12回「水木しげるが傑作マンガ誕生の糧にした湯桶サイズの『揚げかたやきそば』」
第13回「渋谷の名店『麗郷』で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそば」
第14回「横浜レジェンド町中華『奇珍』具材に負けない揚げ麺のスーパーイリュージョン」
第15回「“ムラムラ”した漢が喰いたくなる五反田『梅林』の肉かた焼きそば」
第16回「レモン噴射で梅雨の湿気も吹き飛ぶ! 芝公園『綿徳』の揚げやきそば」
第17回「西麻布なのに500円! ガーナ人も魅了するワンコインかたやきそばの信念」

 

MARUOSA(ミュージシャン)

1980年、大阪生まれ、東京在住。エクストリーム・ミュージシャンとして、これまでに20カ国以上でライブを行い、世界3大メディア・アート・フェスのひとつ「ソナー」(スペイン)、約28万人も訪れる欧州最大級の「ロスキレ・フェススティバル」(デンマーク)、世界最大の音楽見本市「SXSW」(アメリカ)などに出演。かた焼きそば研究家としてテレビ・ラジオ出演やコラム執筆といった活動も行う。

Twitter:@maruosa

Instagram:@maruosa

【maruosa.com】

まるおさ

最終更新:2022/08/31 07:00
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